7月のスタイルクラスのテーマは「真夏のリトリート」。
リトリートとは、日常から少し離れ、心と体を休ませるための時間。
今回は、南国の植物を思わせる個性的な花材と、さまざまな表情のグリーンを使って、夏のブーケを束ねました。
イメージしたのは、緑に囲まれた場所でソファに体を預けてゆったりとくつろいでいる自分。
視界に広がるのは、植物が描くしなやかな曲線や幾重にも重なる葉。
その隙間から木々を通してやわらかな光が差し込んでいます。
植物に包まれながら、何もせず、ただその景色を眺めて過ごす。
そんな穏やかな時間と空気を、ブーケの中に描いていきました。

個性豊かな植物から、ひとつの風景をつくる
今回用意したのは、濃淡や形、質感の異なるたくさんのグリーンと、南国の空気を感じさせる存在感のある花材です。
一本ずつ見るとどれも個性的。
それらを束ねるときには、きれいにまとめようとするよりも、植物が自然の中でどのように育っているかを想像してみます。
まっすぐに伸びるものもあれば、横へ大きく手を広げるものもある。
グリーンの奥に隠れる花もあれば、鮮やかな色で目を引く花もあります。
それぞれの違いを消さずにひとつのブーケに収めていくことで、緑が幾重にも重なった奥行きのある夏の景色が現れてきました。

話す時間も、静かに集中する時間も
レッスン中は、静かに花と向き合う時間もあれば、おしゃべりに花が咲く時間もあります。
束ねながら感じたことや、気づいたことを言葉にしてみる。
私から生徒さんに問いかけ、その感覚を一緒に確かめていくこともあります。
自分の中だけにあった思いも、口に出すことで少しずつ輪郭が見えてくることがあるからです。
そこから皆さんとの会話が広がることもあれば、花とは関係のない他愛もない話で笑い合うことも。
一方で、今は花に集中したいと思えば、無理に話す必要はありません。
話したければ話し、静かに束ねたければ花に集中する。
それぞれが、そのときの自分にとって心地よい過ごし方を選んでいます。
同じアトリエに集まっていても、一人ひとりの時間の流れ方は違う。
そんな自由さもKOLMEのレッスンで大切にしていることです。

生徒さんが感じた「真夏のリトリート」
レッスン中には、オフィスにグリーンを置くことで得られる癒やしについても話題になりました。
植物を眺めるだけで気持ちが和らぎ、仕事の合間に緊張がほどける。
たくさんのグリーンに触れたことで、そんな植物の力をあらためて感じた方もいたようです。
制作を振り返り、こんな声も聞かれました。
「太い茎が入ると、ブーケの軸がずれてしまうこともあるのですが、今回は比較的収まりがよく、束ねやすく感じました」
一方で、完成したブーケを眺めながら、それぞれに気づいたことも。
「花がグリーンの中に見え隠れするような印象を作っていたのに、最後は思ったより前面に出てしまいました」
「濃い色の葉が、一か所に固まってしまったところが気になりました」
束ねているときには気づかなかったことも、完成した作品を少し離れて眺め、言葉にすることで見えてきます。
うまくいったところも、思い描いた印象と違ったところも、次の作品へつながる大切な発見です。

それぞれの風景が現れたブーケ
完成した作品には、生徒さん一人ひとりが思い描いた「真夏のリトリート」が表れました。
南国の植物が生い茂る庭を思わせるブーケ。
木々の間から鮮やかな花がのぞくブーケ。
静かな森の奥へと誘われるようなブーケ。
テーマは同じでも、どの風景に心が動くかはそれぞれ違います。
花を選び、組み合わせながら、自分の中にある景色を少しずつ立ち上げていく。
そこにテーマのあるスタイルクラスならではの面白さがあります。

日常の中に、自分をほどく時間を
旅に出なくても、いつもとは違う景色を思い浮かべて目の前の植物に触れることで、気持ちが緩むことがあります。
花を眺め、手を動かし、ときには言葉を交わす。
静かに集中することも、皆さんと笑い合うことも、その人にとって心地よければどちらも大切です。
7月のスタイルクラスは、たくさんの植物に囲まれながら、思い思いの夏の風景を楽しむ時間となりました。
アトリエで過ごしたひとときが、暑い日々の中で心と体を緩める、小さなリトリートになっていたらうれしいです。




