4月のスタイルクラスでは、名菓「ひよ子」をテーマにブーケを束ねました。
白あんを生地で包み、ひよこの形に焼き上げた、あのお菓子。です。
新年度という節目の季節。
この時期は、どこか初々しさを感じるタイミングでもあります。
今回のテーマである「ひよ子」は、完成されたフォルムでありながら、どこか未熟さを感じさせる存在。
そのバランスが、生まれたてのようなやわらかさやフレッシュさにつながっています。
レッスンでは、もともと大切にしている「整えすぎないこと」に、今回はいつも以上にフォーカスしました。

普段から作り込みすぎないことは意識していますが、
今回はさらに一歩踏み込んで、
「いつもならしっかり作り込むところも、あえて作り込まない」ことを試していきます。
完成度を上げるのではなく、未熟さをほんのり出す。
その加減を探りながら束ねていきました。
高さを揃えすぎないこと、密集させすぎないこと。
主役の花を立てながらも、全体は決めすぎない。
そうすることで、軽やかな抜け感と自然なリズムが生まれていきます。

今回印象的だったのは、生徒さんたちが感じた「イメージとのギャップ」でした。
「ひよ子」と聞いて、黄色くて丸みのある、
いわゆる“ひよこらしい”ブーケを想像していた方が多かったのですが、
実際に束ねたものは、一目でそれとわかる形ではありません。
その違いに、少し戸惑いの声もありました。
そこでお伝えしたのは、
テーマはあくまでも“意識づけ”であるということです。
テーマをそのまま再現するのではなく、
そこからイメージを広げていくことが大切です。
たとえば今回であれば、
ひよこ → 卵 → イースター→春
ひよこ → 生まれたて →未熟→ 新入社員・新一年生 → 黄色い帽子
そんなふうに連想を重ねながら、
感じたことをブーケに少しずつ織り込んでいく。
直接的に見せるのではなく、
背景として重なっていくことで、表現に奥行きが生まれます。

また、今回の花材の中でも印象的だったフリチラリアは、
動きのあるラインに加えて、どこかユーモラスで存在感のある花。
少し鶏のようなフォルムで、遊び心を感じさせる個性的な佇まいです。
茎は太さがありながらもやわらかく、
力を入れすぎると折れてしまうため、扱いには繊細さが求められます。
まっすぐなもの、曲がりのあるものを見極めながら、
外に動きを出したり、角度をつけて空間をつくったりと、
一本ごとの個性を活かして束ねていきました。

ひと目で「ひよ子」とわかる形ではなくても、
それぞれの中にあるイメージが重なり合い、
その人らしいブーケに仕上がっていました。
整いきらない状態の中にある美しさ。
その感覚を、あらためて感じていただけたかと思います。

レッスンのテーマに合わせて、今月のお菓子はひよ子と、ブーケと同じ色のマカロン。
面白い組み合わせでした。



