ソール・ライターの写真はシンプルでいて味わい深いといいますか、そこらへんの道端の、なんてことない瞬間が切り取られているのですが、じーっと見ていたくなります。
ただいまBunkamura ザ・ミュージアムで作品展が開催中ということで、本ではない実物のソール・ライター作品をじかに鑑賞してきました。
ソール・ライターとは
1950年代から1980年代にかけてニューヨークでファッション・カメラマンとして活動しますが、自分の撮りたい作品だけを撮るために58歳で商業写真から離れました。
2006年に出版された作品集をきっかけに再び評価が高まったのは83歳のとき。
その後、展覧会の開催や出版、ドキュメンタリー作品の公開が相次ぎ、彼の存在が世界中で知れ渡ることとなりました。
日本では2017年に初の展覧会が開かれました。
訪れた人の口コミからブームとなり、記録的な観客動員数となったそうです。
3年ぶりとなる本展は、彼が残した膨大なアーカイブの中から世界初公開の作品や資料をメインに展示されています。
もともとは1月から3月の会期だったのですが、コロナの影響で展示が途中閉幕されてしまったのです。
おまけに作品を本国に返却することもできず、東京で保管されることになりました。
このたび作品を所蔵している財団の厚意により、アンコール開催となったそうです。
今回の展示作品を通して、ソール・ライターが写真を撮りながらニヤニヤしただろう瞬間を考えてみました。
大好きな傘
ソール・ライターの作品には傘がたびたび被写体として登場します。
傘と同じくらい、いやそれ以上に雨と日と雪の日が多いのです。
彼のほとんどの写真は、彼が住んでいたイーストビレッジのアパートの半径数ブロック内で撮影されたものです。
見慣れたカフェの窓に雨粒が広がっていたり、いつものお散歩コースが雪で白く覆われていたら、
見慣れた風景が特別なものに感じられますよね。
なんでもない景色をなんでもなくしてしまう天候と、そのときだけに現れるカラフルな傘が面白かったのだろうなあ。
色彩の不意打ち
コンクリートや金属、ガラスでつくられた都会の建物を撮っていると、ニュートラルな色合いになりがちです。
しかし、ソール・ライターのカメラには、無機質な街の景色に赤をはじめピンク、黄色などの鮮やかな色彩がバッチリ捉えられています。
街を歩きながら、赤色が来た〜!ピンク色が来た〜!なんて、不意打ちを楽しんで撮影していたんでしょうね。
画家の撮る写真
ソール・ライターは写真家として有名になっても、自分は画家であると考えていたそうです。
雪が降りしきる街の風景は歌川広重の浮世絵、鏡を多面的に使った女性のポートレートはピカソのキュビズム絵画…といったように、写真にも絵画から得たインスピレーションがふんだんに盛り込まれています。
絵画のエッセンスを写真に落とし込むアイデア、ぜひ真似してみようっと。
アンコール開催 永遠のソール・ライター展は9月28日までBunkamura ザ・ミュージアムで開催中です。
入場時に検温と連絡作に記入がありました。
土日祝日は要予約ですが、平日は予約なしでオッケーでしたよ〜。
ほんの数メートル歩くだけで全身の水分が蒸発する、気温35度の渋谷。マスク苦しいよ〜。
写真展の詳細はこちらからどうぞ
>>>アンコール開催 永遠のソール・ライター展