フラワーアレンジメント関係の本って、作り方や飾り方を解説した技術的な内容が多い気がします。
なぜそのアレンジメントが生まれて世界に広まったのか?など、技術が進むのには、過程や背景があるはずですよね。そこを知ったら、作る面白さがより深まりそうだな〜と思っていたときに出会ったのが『花が時をつなぐ フローラルアートの文化誌』(川崎 景介著)。
今まで意識してこなかった分野まで花文化にひっくるめて触れられており、花トリビアが急増したので、今回ご紹介します。
日本のフラワービジネスのなりたち
平安時代、京都の北白川付近に住み、切り花を売り歩いていた「白川女」が日本の花屋の先がけでした。
時代は進んで室町時代には、武家や貴族の間で生花が流行しました。
庭の草花だけでは飽き足らなく、出入りの植木職人に花材の調達に依頼されるように。
さらに、庶民の経済活動が活発になった江戸時代中期は、花売りは男性の仕事でした。
季節の花をもりもりに積んだ天秤を担ぐマッチョな男たちは、江戸女子達のアイドルだったかもしれませんね。
ときには女性客に請われて家に上がり、花を生けたとも言われています。
明治以降、様々な外国文化とともに洋花とフローラルアートが日本にもたらされ、花売りたちはその知識やテクニックを真似て、日本独自の完成を加えました。
歴史の授業でおぼろげに覚えていた白川女とこんなところで再会するなんて!
花を束ねるとリラックスできるのはなぜ?
KOLMEで花を扱うようになってから、「花を束ねるとリラックスできるのはなぜ?」と、ずっと持っていました。
この本の中には答えがありました。
フローラルアートとはまさしく、人間のもつ固有の秩序のなかに自然に属する植物をとり入れる行為であり、そこには人間独自の秩序だった規則性と、人間の統制が利かない植物の野生とが共存しています。194ページ
“考える=思考を秩序立てること”から、“好きに束ねる=精神を自由に解き放つこと”で、自然に回帰したいという人間本来の欲求を叶えているんだな〜。
「考えるのをやめて自分の好きに束ねましょう」と、KOLMEのレッスンのたびにKazukoが話すアドバイスとつながった!
花トピックの大盤振る舞い!
なぜクリスマスの花は赤と白なの?
なぜ人は花が好きなの?
という素朴な疑問から、リースやガーランド、ブーケが作られるようになった背景、西洋と東洋の花文化の比較、フランスとイギリスで異なる花言葉、花を主役にした絵画の見どころなど、本書には花に関するトピックスと解説が盛りだくさんです。
フラワーアレンジメントを学ぶ人は一度読んでみると、インスピレーションを刺激されること間違いなしの一冊です。
これを読む前と読んだ後でご自身のフラワーアレンジメントを作品をぜひ見比べてください。
きっと得るものが多いと思いますよ。