4月のコルメレッスンでは、ギフト用の小さなブーケとシャンペトルブーケ、ふたつの異なるスタイルを束ねていただきました。
同じブーケでも、作る目的やボリューム感、見せ方や考え方が全く違うこの二つ。
その違いに触れることで、より深く「贈る」という行為を見つめ直すようなレッスンになりました。
小さなギフトブーケの奥深さ
1つ目のテーマは、「ギフト用のブーケ」。
本数は5本以内が目安ですが、これは“少なさ”を意識するのではなく、ラッピングを含めた全体のサイズ感や仕上がりの印象を体感するためのひとつの指標です。
花材のセレクトは、生徒さん自身で。
「今日はみなさん、お花屋さんですよ。」とお声がけすると、皆さん自然と“贈る相手”の顔を思い浮かべながら、想いのこもった小さなブーケを束ねてくださいました。
バラやラナンキュラスなど、見た目にもわかりやすいお花をメインに、フリージアやホワイトレースで動きを添える──「お花に詳しくない方にも喜ばれる組み合わせ」を意識して。
仕上げは、ワンサイドで花の顔がきちんと見えるデザイン。
ラッピングまで含めて、贈りものとして完成させます。
「こんなに小さいのに、すごく難しい!」
「でも、ラッピングしたら一気に“作品”になった!」
という声も多く、小さなブーケが持つ豊かな表現力に改めて気づかされる時間でした。

春の空気を束ねる、シャンペトルブーケ
続いて、シャンペトルスタイルのブーケを束ねました。
これは、“庭で摘んだ花をそのまま束ねたような”ナチュラルなデザインで、揺れ感・空気感・余白を大切にするスタイルです。
ペンペン草やスノーボールの枝分かれを活かしながら、風にそよぐようなラインを意識して束ねます。
花材についている葉は適度に取り除き、花の表情やラインが引き立つように整えていきました。

どの高さで切るか、どこまで葉を残すか。
そして、どこに空間をつくるか。
細かな調整を重ねながらも、「庭で摘んで、そのまま無造作に束ねたように見せる」ことを意識してデザインしていく。
そんな逆説的な美しさに、皆さんが向き合っていた姿がとても印象的でした。

完成したブーケには、まるで春の風がふわっと吹き抜けるような心地よさが宿っていて、見ているこちらまで深呼吸したくなるような仕上がりに。

贈る、ということを思い出す時間
ギフトの花って、本数が多くなくても、想いがこもっていればそれだけで嬉しいもの。
むしろ、ちょうどいいサイズ感で渡せることが、お渡しした方にも場所を選ばずに飾っていただけるし、その人らしさを表すこともあります。
でも、長年花を扱っているとつい「立派に」「大きく」と考えてしまうもの。
だからこそ、私は毎年4月にこのギフトブーケのレッスンを行っています。
「いつでも、誰かにお花をプレゼントできる私でいられるように。」
この春も、生徒さんたちがそんな自分に出会えるような時間となりました。
