先日、娘のピアノの試演会に行ってきました。
発表会のような「完成の場」ではなく、
今の自分を試し、響きを確かめる「途中経過の場」。
仕上がった曲は堂々と、
まだ準備中の曲は楽譜を見ながらでも演奏できる、
そんな温かく自由な空気に包まれた試演会でした。
この「未完成でも今を表現していい」というスタイルが、
私はとても素敵だなと思いました。
完璧を求めすぎず、
その瞬間にしかない響きを感じ取ること。
それは、音楽だけでなく、人生にも通じるものがあるのかもしれません。
この会では、先生もドビュッシーの曲を5曲も演奏してくださいました。
ドビュッシーの音楽は、
宇宙を旅するような雄大さと、
星のきらめきのような繊細さをあわせ持っています。
それでいて、どこかフランスらしい軽やかさ、
洗練された都会的な香りを纏っていて、
ふわりと空気を揺らしながら、静かに心を震わせていきます。
音楽って、
技術や完成度ではないんだな、と思いました。
奏でる人の内側からにじみ出るものが、
空気を震わせ、響きとなって、まっすぐ心に届く。
たとえ途中でも、たとえ不完全でも、
そこに「想い」が乗れば、ちゃんと届く。
それは、音楽だけでなく、
きっと花も、言葉も、生き方も、同じ。
完璧じゃなくてもいい。
その時の、そのままを、響かせていけばいい。
そんなことを、試演会の時間から教えてもらった気がします。