こんにちは。
KOLME妹・Michikoです。
前回のフォンテーヌブロー宮殿レポートではナポレオン1世の博物館をご紹介しました。
今回はいよいよ「王のアパルトマン」と呼ばれる王様の居住空間です。
どの部屋も妥協や手抜きがなくて、気合いバリバリのインテリアでしたよ。
それではさっそく、フォンテーヌブロー宮殿の模様をお届けします〜!
フォンテーヌブロー宮殿で王様の生活空間を見てきた
アンヌ・ドートリッシュの寝室
ルイ14世の母親アンヌ・ドートリッシュと、その後の王妃たちが使用した寝室です。
アンヌ・ドートリッシュは、4歳で即位したルイ14世の摂政として宰相マザランと共に政治を司った人。
ひと時代の実権を握っていたわけですから、寝室も王様と同じくらい豪華ですわな。
天蓋やタペストリーが重厚感を演出しています。
これらの生地は現代に復元されたのだとか。
天井のモールディングやシャンデリアからも「贅の限りを尽くしてやったわい!」的な心意気が伝わってきませんか?
絵皿の回廊
この回廊の壁には128枚のセーブル陶器の絵皿が飾られています。
細かな絵や文様は職人が描いたものなのですが、気が遠くなりますよね
フォンテーヌブローの教会の風景。
のどか〜。
箱というか、たんすというか、いわゆる箱物家具。
表面の陶板に描かれているのは、七月王政の国王ルイ・フィリップ1世の息子フェルディナン・フィリップ(新郎)と、エレーヌ・ド・メクレンブルク(新婦)の結婚式の様子。
「皇太子にお嫁さんがキタ!」という場面、新婦エレーヌを迎える国王ルイ・フィリップ。
新婦エレーヌ・ド・メクレンブルクは、北ドイツのメクレンブルク=シュヴェリーン大公国のお姫様。
ドイツのクリスマスツリーを飾る習慣をフランスに持ち込んだ人らしい。
フランソワ1世の回廊
フォンテーヌブロー宮殿のNo.1人気スポットと言っても過言ではない、全長64メートル、幅6メートルの回廊です。
フランソワ1世はココの出来栄えが気に入り過ぎて、他の人が通れないように出入り口の鍵を持ち歩いていたそうな。
回廊の入り口のドア。
驚きのあまり被っていたヘルメットが吹っ飛んだ人!?
ベルサイユ宮殿の鏡の間のモデルになったのだとか。
木材本来の色や風合いを残した空間は、他の部屋に比べて温かみが感じられますね。
とはいえ、この装飾っぷり。
フレスコ画。
真ん中の象は「すべての者より優れている」という意味で、フランソワ1世を表しているらしい。
火災に見舞われた両親を、双子の兄弟が背負って避難させている図。
「親孝行」を表しています。
これらのフレスコ画はフランソワ1世がイタリアから招いた画家、ロッソ・フィオレンティーノが描いたそうな。
彼の影響で生まれたのが「フォンテーヌブロー派」と呼ばれる絵画や彫刻、タペストリーなどの芸術家のグループでした。
回廊のあちこちで見かける天使の象。
「果物とったどー!」のドヤ顔がじわります。
夜の暗がりでここを通ったときに、この顔を見つけたら絶対に眠れない。
「F」のイニシャルをはじめ、百合の紋章、サラマンダー(火とかげ)など、フランソワ1世を象徴するモチーフが散りばめられています。
ライオンとペガサスを足して2で割ったような幻獣。
聖書やギリシャ神話に登場する生き物が入り混じったファンタジーワールド状態です。
回廊の締めはフランソワ1世像。
衛兵の間
フランソワ1世の回廊に隣接する「衛兵の間」。
ここでひときわ目を引くのが、こちらです。
昭和に建てられた温泉旅館のロビーや宴会会場入り口に高確率で置いてある、人の背丈くらいの九谷焼の壺のスゴイバージョンみたい。
壺の真ん中・人が立ったり座ったりしている部分、中央右側で両手を下に少し広げている人がレオナルド・ダ・ヴィンチで、その右で座っているのがフランソワ1世なんだそうな。
(写真では分かりづらいですが…)
人とか、獣人間とか、動物とか宝石とか。
いや〜、だいぶ盛りましたね!
この衛兵の間は、ナポレオンが少人数で夕食をとるときの食堂として使われていたそうです。
そんなエピソードも吹っ飛ぶ、壺の存在感。
舞踏の間
レセプションや舞踏会、宴会などに使わた大広間の「舞踏の間」は、フランソワ1世の時代に着工し、息子アンリ2世の時代に完成しました。
柱に飾られているのはフレスコ画。
ギリシア神話の場面が描かれています。
ルネサンス時代のイタリア建築では、格間(ごうま)と呼ばれる四角や八角形にくぼんだパネルを天井にはめ込んだ、格間天井が多用されました。
こちらの天井も、もれなく格間天井。
入り口上部のバルコニーには楽団が入り、祝宴や祭典の演奏をしてました。
暖炉の丸太が大きい!
照明の脚を支えるのは天使たち。
シャンデリアをはじめ、天井や壁など部屋のいたるところがキンキラ金でも、威圧的な印象はありませんでした。
木の無垢な質感や大きな窓から差し込む光といった自然の要素が、精密な装飾が発する緊張感を和らげているんでしょうね。
有名な部屋と部屋のあいだに挟まる部屋も、濃い。
ナポレオン時代〜王政復古時代に活躍したフランドル派の画家・Jean Francois van dael(ヤン・フラン・ファン・ダエル)の静物画。
リヒテンシュタイン展で見たヴァルトミュラーとだいたい同じ時代に活躍した人らしい。
マントルピースの上の時計と壺。
左右対称に飾っているところとか、ギリシャの影響ビシビシですね〜。
ゴブラン織りのタペストリーと一体化しているコンソールテーブルと甁と燭台。
こちらも左右対称の配置。
コンソールテーブルの脚が女性像になっているんですかねえ?
この女性の形をした柱は「カリアティード」と呼ばれており、起源は紀元前のギリシャにまでさかのぼるのだとか。
パリでは家具以外にも建物の柱とかでけっこう頻繁に見かけたので、けっこう定番の仕様みたいです。
顔つきや布の動きがリアルな彫刻を建築に使うなんて、面白いですよねえ。
フランソワ・クルーエ作「Dame au bain(お風呂の女性)」。
ルーヴル美術館に所蔵されているフォンティーヌ派の絵画「ガブリエル・デストレとその妹」とそっくり。
余白のない窒息インテリア。
コンコルド広場 の『Hôtel de la Marine オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ』で受けた衝撃を軽く超える、王家の本気インテリアでした。
天井から床まで柄×柄、色×色、くぼみ×でっぱりと、室内に余白がありません。
いやあ〜、障子と畳に慣れた民には圧力が半端なかったです。
ところ変わると、美意識も全く違いますねえ〜。
まだまだ宮殿は続きます。
次回はナポレオン関連の部屋と、皇后の寝室をお届けしますね〜。
【Château de Fontainebleau】
フォンテーヌブロー宮殿
住所
77300 Fontainebleau
パリからのアクセス
フランス国鉄SNCFのTER(ローカル列車)利用
パリ・Gare de Lyonリヨン駅からFontainebleau Avonフォンテーヌブロー・アヴォン駅下車(約40分)。
バス15分
営業時間
10月〜3月:9:30-17:00
4月〜9月:9:30-18:00
休み
火曜日、1/1、5/1、12/25
ウェブサイト
https://www.chateaudefontainebleau.fr/en/