ローマからパリへ。
旅の舞台が変わる日は、本来であればワクワクするはずなのに、あの日の私は完全に「もう知らないよ状態」でした。
坂道と迷子と、焦げそうな暑さ

ローマ最終日。
ホテルの近所、スペイン広場あたりをお散歩しようと思ったのです。
何度も通ったこの辺りは、たった数分の距離なのに、坂は多いし、歩道は狭いし、人は多いしで、軽い登山のような冒険レベル。
ローマ最古のカフェでお茶した後はMichikoと別行動し、ランチのトラットリアで落ち合うことに。その場所へ行くまでに、方向音痴の私は軽く迷子になり、焦りと暑さでぐったり…。
でも、やっと着いた先のスタッフの女性の笑顔に救われました。
笑顔って、あんなに心に沁みるものなんですね。

美味しいランチと、最後のジェラートも堪能して、もう思い残すことはありません。
ひっかかりは的中する
ホテルで呼んでもらったタクシーに乗って、いざ空港へ。
やって来たのは、長髪でロッカーのようで、ヒッピーみたいな中年ドライバー。
「あれ?なんか今までローマで出会った人たちとは、なーんか違う空気…」その違和感は、空港到着後に的中しました。

ローマ市内から空港までは定額料金のはずなのに、なぜか10ユーロ多く請求され、しかも現金限定。
一瞬「え?」と思ったけれど、疲れすぎていて、もうどうでもいいや…となってしまった。
そんな自分に「なんで言わなかったんだろう…」と、あのとき飲み込んじゃった違和感が、時間差でじわじわくる感じ。あとから悔しくなるんですよね。
空港内で、ぐるぐる迷子の再来
やっと空港に着いて、セキュリティまでは順調…
だったのに、ラウンジに行ったら「ここじゃなくて別のターミナルだよ」と言われ、ゲート近くのラウンジへ移動開始。
するとまた、パスポートコントロールに引っかかります。
「外に出て入り直して」と言われて、ポリスに掛け合うも、「違うよ、あっちだよ」と別方向を指示され、行っても行っても迷路のようにさまよう私たち。
疲労とイライラとで、もはや笑えてくるレベル。
最後は、情けをかけてくれた係員さんが助けてくれて、ようやくラウンジへ。
でも、そこも騒々しくて、まったく癒されず…。
さらにパリ行きのフライトは、30分以上のディレイ。
もう……知らん。
荷物が出てこない、それがトドメ
夜遅く、ようやくパリ シャルル・ド・ゴール空港に到着。
でも、ここからがまた長かった。
飛行機を降りたら、なぜか出発ロビーへのブリッジを、私たち乗客たちは間違えて行ってしまい、ドアの前で立ち往生。しばらくして、無事に到着ロビーへのブリッジへ方向転換。

入国後は、受託荷物が、待てど暮らせど出てこない。
1時間近く、ただただベルトコンベアを見つめていた気がします。もはや放心状態。
あの半日は、人生でトップレベルに「心折れた移動」でした。
救いのバスタブと、飛行機ビューの部屋
踏んだり蹴ったりだったけれど、自分を褒めたくなったのは、空港内のホテルを予約してたってこと。これが、まさに神采配!

深夜、ようやくお部屋に入って温かいお風呂にゆっくり浸かった時は、「ああ、生き返る…」って本気で思いました。
しかも、お部屋はアップグレードされて飛行機が見えるお部屋!マイラーの私にとっては、ささやかなご褒美。

今日までの疲れに、ありがとう。でも明日からは、いよいよ「パリの物語」が始まります。
ローマで重厚な空気を吸って、少しの無力感と一緒にパリへ。
でも、それすら旅のうち。
ここから、新しい空気と新しい景色と美意識が、また動き出します。


